ペン立てを3Dプリントしたよ

テケレッツ

「あのね、お客さん」
「なんだい」
「世界一のマッチって知ってますか」
「いや知らないねえ、そんなのがあるの?」
「BENラインっていいましてね、イギリスから、ヨーロッパ、それからアジアのほうへきてる航路がありましてね。この航路の船で使ってるマッチが世界一のマッチだっていいますね」
「だけどさ、世界一ったって、いったいなにが世界一なの?どこがどう違うのかね?」
この質問に対して、彼は実に明快に答えたね。おそらく、日本広しといえども、理想的なマッチの条件を即座に述べられる人は、そう何人もいるものじゃなかろう。諸君はどうかな。
彼は答えた。
「つまり、一つはにおいがしないことですね。それから、もう一つは頭が落ちないこと」

― 伊丹十三 : 『女たちよ!』 - P.185 「世界一のマッチ」より


ペン立てが欲しいなと思った。と、ここで、今までならオンラインショッピングサイトへアクセスしたところだが、今の私には3Dプリンタという選択肢がある。


そんなわけで、MakerWorldで “desk organizer” なり “pen cup” なりで検索したものの、めぼしいものが見つからなかった(他にもPrintablesThingverseというサイトがあることを今回知ったが、こちらも結果は同じ)。というわけで、せっかくなので自分でモデリングしてプリントすることにしました。

よいペン立てとは?

「つまり、ペンがよく立つものですね」

― テケレッツ : 『ペン立てを3Dプリントしたよ』 - “よいペン立てとは?” の章、1行目より

よく立つというのはペンを垂直に保ちやすいということで、差したものが垂直に近くさえあれば、例えばハサミを差したときに重心が偏ってペン立てが倒れるなんてことを防げる。ペン立てが倒れにくければ、壁面を低くできるし、壁面が低ければ、短いものを出し入れしやすい。その他にも、新しいものを差す隙間が生まれやすいし、引き抜いた際に隣のものがスッとその引き抜いた空間に滑り込んでくるようなことも減る。

そういったことを考えながらいい感じの形を考えよう

開口部と内部底面が波打ったペン立ての絵
考えてた時の再現

結論から言えばこうなった(STLファイル(29MB))

Loading STL Model...


底面(机との接地面)の処理に改善の余地があると思うけどこの辺が落とし所だろうとプリント。

裁ちばさみがペン立てにほぼ垂直に差されている ものさしがペン立てにほぼ垂直に差されている 勝った


ペン立ての内側底面にペン先が当たり、ペンがいい感じに滑り止まっている こういう感じで滑らずにいる ペン立てにいろいろな文房具が差さっている デジタルノギスだけ、他のものがないと倒れてしまった

おおむね満足の行く振る舞いのものが得られた。形もある程度のシンプルさを保てていると思う。集合体恐怖症の人は嫌う見た目かもしれないけど。


ボツ案

ボツ案ら ボツ案1 ボツ案2 ボツ案3

初めのうちは円筒形で考えてたけど内側底面のパターンが難しかったので六角形にした。結果的にものさしの収まりがよくなる等、メリットがシンプルさを上回ったと思う。いくつかプリントし、開口部は多少は広がってた方が内側底部の引っかかり具合がよい感じだった。

4つの試作プリント 右端が一番良かった


おわりに

中身に対して長くなってしまったけれど、なんてことない物の形を工夫して脳内物理演算でテストするのって楽しいよねって話でした。